HISTORY

「農道即商道」

仕事を通じて農業の役に立つ

  • 創業者 村瀬忠雄

    創業者、村瀬忠雄は若かりし頃から農業に邁進した人物です。戦時中は農業開拓の指導員として満州に渡りました。終戦後、農業に携わろうと熱い想いを持って帰国しますが、自らが耕す土地はなく思うようにならない日々が続きます。その時に相談をしたのが恩師である加藤完治氏であり、その時にいただいたのが当社の創業理念である「農道即商道」という言葉でした。「商売を通じて農業の役に立ちなさい」という教え。農作業そのものでなくても、農業の役に立てる仕事がある。創業者が開眼した瞬間でした。

  • 丸福繊維工業所の創業

    創業者は満州時代の伝手を頼りに日晋商事株式会社に就業。繊維製品を中心に販売、行商をしながら商売の基礎を学びます。そんなある時、中古のミシンが名古屋で売りに出ていることを知り、自ら縫製業として起業することを決意し妻の節子と夫婦で丸福繊維工業所を創業します。創業当初は生計を立てるために子供服や下着など様々な衣料の縫製を行いました。事業が軌道に乗り始めると創業者はいよいよ農作業服の開発に着手します。

  • 農作業服の開発へ

    戦後間もない当時の農村生活は貧しく、ぼろぼろの服で皆、農作業に従事していました。創業者は農村の衣住改善に取り組んでいた農業改良普及所の指導を受けながら農作業現場を回り意見を聞きました。また、かつて自身が農業に取り組んでいたことから農家の気持ちやニーズを的確に読み取ることができました。地元の丈夫で色褪せない三河木綿を生地に使用し、ボタンは外れにくいように手付けにこだわりました。長く商品を使えるように全ての商品にゴムの取り換え口をつけ、ゴムも別売りするなど農家の要望に応え続けました。こうして丸福繊維の農作業服は「高いけれど丸福の作業服が一番」と評判を呼ぶようになりました。

  • 農協との取引~市場の変化

    昭和50年代から地域の農協を通じたカタログ販売を開始したことで農作業服の販売は飛躍的に拡大をしていきます。市場では「農作業服と言えば丸福」というイメージが定着し、農作業服ブランドとしての地位を確立しました。順調に成長を続け、1985(昭和60)年には、丸福繊維社長は2代目、村瀬和男へと代替わりを迎えます。一方、丸福繊維や農業市場を取り巻く環境の変化が訪れたのもこの頃。農作業の機械化・省力化により丈夫な作業服の需要が減少するところへ中国製の安価な輸入衣料が拍車をかけ、農作業服販売は急速に縮小局面を迎えることになります。

  • ユニフォーム事業の開始

    急速に売り上げが落ち込むピンチの中で、2代目社長である村瀬和男と妻で専務の久美子は、新たに在庫を持たないリスクの少ないユニフォーム事業の立ち上げを決意します。まずは農作業服の取引で信頼を得ていた農協職員のユニフォームを手掛けます。やがて名入れやプリントのオリジナル加工サービスや、企業用のフォーマルな制服など時代に応じた「ユニフォーム」の提供を開始。農業以外のニーズにも対応できる新たな商品軸が生まれました。

  • オリジナル商品の開発

    2000(平成12)年頃のある日「農業資材を使って暑さ対策ができないか」という相談がありました。その方は、砂地の過酷な暑さの中で農作業をされている鳥取県のらっきょう農家さんでした。そのとき、丸福繊維が開発したのがダイオミラー素材を使った帽子「涼かちゃん」です。通常の帽子に比べて着用時の帽子内温度が低く、太陽光をはね返す効果を持つ「涼かちゃん」は、らっきょう農家さんをはじめ、多くの農家さんから好評をいただき、丸福繊維初のオリジナル商品としてヒットしました。

  • ヤケーヌの誕生

    「涼かちゃん」のヒットを皮切りに、丸福繊維はオリジナル商品の開発を本格始動。「農業の困りごとを解決する」を目標に掲げ、直接農家さんの声を聞くために度々田畑へと足を運びました。その際に最も多く耳にしたのは「とにかく日焼けしたくない…」と悩む女性の声です。そして、生まれた商品が紫外線対策用のフェイスカバー「ヤケーヌ」。何度も試作とモニターテストを重ねて完成させた「ヤケーヌ」は、従来のタオルや手ぬぐいでの日焼け対策より圧倒的に快適!と高い評価を得ることができました。その後「ヤケーヌ」は農協での販路を中心に大ヒット。丸福繊維を代表するオリジナル商品へ成長しました。

  • さらなる市場の拡大

    2016(平成28)年、村瀬智之が3代目社長に就任。オリジナル商品「ヤケーヌ」の市場を拡大すべくBtoC向けに大幅リニューアルを開始しました。過酷な農作業現場で評価されてきた機能をアウトドアシーンに向けてアナウンス。パッケージや広告戦略、販路の拡大にも着手し、農業シーンのみならずデイリーウエアとして「ヤケーヌ」を広く定着させることに成功。この取り組みが「ヤケーヌ」を丸福繊維の確固たる主軸商品へと押し上げました。

  • 声に寄り添う

    時代の変化とともに、農業を取り巻く環境も変化しました。それでも、丸福繊維の根底にあるのは「農業即商道」という精神です。農業シーンをはじめ、太陽の下で活動する全ての人に役立つ商品を開発すること。時代に合わせて、喜ばれる形に磨き続けること。丸福繊維は、これからも人の声に耳を傾け、誰かの期待に応える商品づくりを目指します。